もしも透明マントがあったら・・。昔から物語や映画の世界に登場し架空のアイテムとして扱われていた透明マントが、科学の力で現実のものになりつつある。姿を隠して行いたい行為というのは、イタズラなど良くないことが多いが、一方で科学の力で実現される透明マントには未来への夢が詰まっている。ジークフリートの死を嘆くクリームヒルト ©akg/PPS 透明になって自らの姿を隠したいのはどのようなときか。ドラえもんやハリーポッターそのほか多くの物語で活躍する透明マント。古くは、1200年ころに書かれ、圧倒的人気を誇った「ニーベルンゲンの歌」や関連する作品にも登場する。 海の彼方の国、イースランドに、ブリュンヒルトという名の強く美しい女王がいた。彼女は結婚を申し込んでくる勇士たちと槍投げなどで競い合い、ことごとく勝利し、その命を奪っていた。この類まれな女王をぜひ妃に迎えたいと考えたブルグント王国のグンター王は、英雄ジークフリートに手助けをするよう命じる。その際に出てくるのが「透明マント」、タルンカッペである。 ブリュンヒルトは、グンター王の挑戦に、3人がかりで運んできた槍を飛ばし、12人でやっと持ち上がる石を投げて応じたが、結局、透明マントで姿を消したジークフリートの力を借りたグンター王が勝利する。こうして、グンター王とブリュンヒルトは結婚し、ジークフリートもグンター王の妹である美少女クリームヒルトと結ばれる。しかし、なかなか心を許さないブリュンヒルト。グンター王は結婚初夜にもジークフリートの手を借りるのだった。 しかし、その後、ブリュンヒルトはクリームヒルトとの言い争いから、結婚初夜の事実を知ってしまう。名誉を傷つけられたブリュンヒルトは、悲しみにくれる。その思いをはらそうと、家臣であるハーゲンがジークフリートを殺してしまうのだ。 悲劇の元になった透明マント。その本質は、光を自在に操ることにある。2006年、透明マントが現実になる可能性が示され、いっきに注目が集まった。後ろからの光が曲がってモノを迂回すれば
モノの後ろの景色を見ることができる。前からの光が反射・散乱されなければ、モノの姿を捉えることはできない。 あったらいいなと思うすべてのことが科学的研究になるわけではない。透明マントという魅力的なものは物語には昔から出てきてはいたが、現実のものとして科学的に議論されるようになったのは
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